滋賀県工業技術総合センター 令和5年度(2023年度)業務報告
1. 設置の目的
本県の工業は、昭和30年代後半から新規工場立地の進展に伴い大きく発展し、従来は繊維工業が中心でしたが、一般機器、輸送用機器、電気機器等の加工組立型産業が中心を占めるようになり、産業構造は大きく変化してきました。こうした状況の中にあって、本県進出企業と在来中小企業間では技術水準の格差が大きく、また、企業間の連携・協力体制が十分でないこともあり、中小企業の技術力向上がますます重要な課題となってきました。
このように、本県産業の主要な部分が高度で先端・先進的な技術を必要とする電子、機械、精密加工等に転換してきたことや、これら業種や複合技術に関連する協力企業群の技術水準の向上が不可欠となってきたことから、中小企業を中心とした技術力向上を支援する体制を充実することが求められてきました。また、企業相互、産学官の連携により、各分野に蓄積されてきた技術ポテンシャルを結集することの重要性も増してきました。
これまで、本県には繊維や窯業など地場産業の発展を支える機関はありましたが、県内工業の基盤的な分野に深くかかわり、先導的な役割を果たす機関は未整備でした。
こうした時代背景の中で、産業界からの強い要請もあり、工業技術振興の様々な課題に応えるため、電子、機械、化学、食品、材料、デザインなど、広範な分野を対象とする総合的な試験研究指導機関として、また本県工業技術振興の拠点として、昭和60年4月に「滋賀県工業技術センター」が栗東町(現:栗東市)に設置されました。
また、急速な技術革新に対応し、今後、技術立県としての地位を確立するため、「滋賀県工業技術センター」の整備に合わせて、人材育成、技術・人的交流、情報の収集・提供といったソフト部門を受け持つ「(財)滋賀県工業技術振興協会」(現:「(公財)滋賀県産業支援プラザ」)が昭和60年3月に設立されました。
一方、信楽町(現:甲賀市信楽町)には明治36年創設の「信楽陶器同業組合」の模範工場を前身とする「滋賀県立信楽窯業試験場」が昭和2年に創設されて以来、信楽焼をはじめとする県内窯業の拠点として研究開発や技術支援等を行ってきました。
平成9年4月には、近年の時代の要請や本県の特性を踏まえた行政課題に即応した試験研究を進め、県内大学や他の試験研究機関、地場産業を含む産業界との連携・交流を推進し、その成果を県内産業に移転・普及することを目的として、「滋賀県工業技術センター」と「滋賀県立信楽窯業試験場」を統合し、「滋賀県工業技術総合センター」として業務を開始しました。
「信楽窯業技術試験場」につきましては、令和4年10月に老朽化対策として県立陶芸の森の隣接地に新庁舎にて供用を開始し、地域との連携によりさらなる支援に取り組むことができる環境を整えました。
今後とも、効率的で質の高い組織運営を心がけ本県産業支援の中核機関としての役割を果たしていきます。